「睡眠時無呼吸症候群の検査って、病院に泊まらないといけないの?」「CPAPはずっと続けないといけない?」「費用はどれくらい?」。いびきや日中の眠気が気になっていても、検査や治療のイメージがわかず、受診をためらっている方も多いのではないでしょうか。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の検査は、まずご自宅で普段どおり眠りながら受けられる「簡易検査」から始めることが一般的です。この記事では、睡眠時無呼吸症候群の検査の流れ、結果の見方、CPAP(持続陽圧呼吸療法)による治療、2026年6月に見直された保険適用の基準、通院と費用の目安を分かりやすく解説します。
検査から治療までの流れ

- 問診・診察:いびきや眠気の症状、睡眠の状況、体重の変化、血圧、持病、飲んでいる薬などを確認します。日中の眠気の程度は質問票で点数化します。
- 簡易検査(ご自宅):検査機器をお渡しし、ご自宅で寝る前にセンサーを装着して一晩過ごしていただきます。
- 結果の説明:機器を返却後、解析結果をもとに無呼吸・低呼吸の回数(AHI)や血液中の酸素の下がり方を説明します。
- 精密検査(必要な場合):簡易検査だけでは判断が難しい場合は、脳波なども記録する「終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)」を、対応する医療機関にご紹介して行います。
- 治療方針の決定:重症度や症状、持病に応じて、CPAP、マウスピース、減量や生活習慣の見直しなどを組み合わせます。
ご自宅でできる「簡易検査」とは
簡易検査は、手の指に血液中の酸素を測るセンサーを、鼻の下に呼吸の流れを測るセンサーを付けて眠るだけの検査です。痛みはなく、普段の寝室で、いつもの時間に眠っていただけます。
- 準備:入浴や歯みがきなど、寝る準備を済ませてからセンサーを装着します。
- 当日の過ごし方:飲酒や昼寝は、普段より無呼吸が増えたり寝つきが変わったりするため、検査日は控えめにしましょう。
- 返却:翌日以降、機器をクリニックへご返却いただきます。
簡易検査は手軽に受けられる一方で、脳波を測らないため実際に眠っていた時間を正確には判断できず、結果が実際より軽く出ることがあります。症状が強いのに簡易検査の結果が軽かった場合などは、精密検査で確認することがあります。
器具の付け方や測定に不安がある方へ
簡易検査の器具の設定や装着、測定の方法に不安がある方は、お気軽にお申し出ください。担当の者が直接お伺いし、疑問にお答えしながら、装着方法や測定方法をしっかりお手伝いします。機械の扱いが苦手な方やご高齢の方も、安心してご相談ください。
簡易検査と精密検査(PSG)の違い
| 比較する点 | 簡易検査 | 終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG) |
|---|---|---|
| 検査の場所 | ご自宅 | 主に医療機関に1泊入院 |
| 主な測定項目 | 呼吸の流れ、血液中の酸素、いびき、脈拍など | 上記に加え、脳波、眼の動き、筋電図、心電図、体の向きなど |
| 分かること | 無呼吸・低呼吸のおおよその回数と酸素の低下 | 睡眠の深さや途切れ方を含めた詳しい睡眠の状態 |
| 特徴 | 普段の環境で手軽に受けられる | 診断の標準となる検査。より正確に評価できる |
検査結果の見方:AHI(無呼吸低呼吸指数)
検査結果で最も重要な数値が、睡眠1時間あたりの無呼吸と低呼吸の回数を示す「AHI」です。日本呼吸器学会のガイドラインでは、5以上15未満を軽症、15以上30未満を中等症、30以上を重症としています。
ただし、治療方針はAHIの数値だけで決まるわけではありません。日中の眠気や朝の頭痛などの症状、酸素がどこまで下がっているか、高血圧や心臓病などの持病を合わせて判断します。
CPAP(持続陽圧呼吸療法)とは
CPAPは、寝るときに鼻や口にマスクを付け、機械から一定の圧をかけた空気を送り込むことで、のどの奥が閉じないように支える治療です。中等症以上の閉塞性睡眠時無呼吸に対する代表的な治療で、使い始めた日から無呼吸やいびきが減る方も少なくありません。
- 期待できること:いびき・無呼吸の減少、熟睡感の改善、日中の眠気の軽減、夜間や早朝の血圧の改善など
- 大切なこと:CPAPは病気そのものを治すのではなく、使っている間の気道を保つ治療です。効果を得るには毎晩継続して使うことが大切です。
機器は医療機関を通じてレンタルするため、ご自身で購入する必要はありません。最近の機器は使用時間や無呼吸の回数を記録できるため、受診時にデータを確認しながら圧やマスクを調整します。
2026年6月からCPAPの保険適用基準が見直されました
2026年度(令和8年度)の診療報酬改定により、2026年6月から、保険でCPAP治療を受けられる基準が見直されました。これまでより低いAHIの方も、条件を満たせば保険でCPAPを使えるようになっています。
| 区分 | 改定前 | 2026年6月以降 |
|---|---|---|
| 日中の強い眠気などの症状があり、AHIが高い場合 | AHI 40以上 | AHI 30以上 |
| 精密検査(PSG)で睡眠の分断などを確認した場合 | AHI 20以上 | AHI 15以上 |
いずれの場合も、日中の強い眠気や起床時の頭痛など、日常生活に支障をきたす症状があることが条件です。AHIが15以上30未満の方は、精密検査で睡眠が無呼吸によって分断されていることなどを確認したうえで判断します。「以前の検査ではCPAPの対象外と言われた」という方も、改めてご相談いただくことで対象となる場合があります。
また、今回の改定では、CPAPの使用時間が極端に少ない状態(1日平均1時間未満)が続くと、保険での管理料が算定できなくなるルールも加わりました。CPAPは「しっかり使い続ける」ことがより重視される治療になっています。
通院と費用の目安
CPAP治療を始めた後は、原則として定期的(月1回程度)に受診し、使用状況のデータ、体調や血圧の変化、マスクの付け心地などを確認します。
| 項目 | 費用の目安(3割負担の場合) |
|---|---|
| 簡易検査 | 検査料と診察料を合わせて数千円程度 |
| CPAP治療(毎月) | 機器のレンタル・管理料・再診料などを含めて月4,000〜5,000円程度 |
費用は自己負担割合や、同時に行う血液検査・心電図などの検査、算定内容によって変わります。詳しくは受診時にお尋ねください。
CPAP以外の治療と、ご自身でできる対策
睡眠時無呼吸症候群の治療は、重症度や原因によって選びます。CPAPと組み合わせることもあります。
- 減量:肥満がある場合、体重を減らすことで無呼吸が軽くなることがあります。
- 寝る姿勢の工夫:あおむけで無呼吸が増える方は、横向きで寝ることで軽くなる場合があります。
- 飲酒・睡眠薬の見直し:寝る前の飲酒はのどの筋肉をゆるめ、無呼吸を悪化させます。
- マウスピース(口腔内装置):下あごを前に出して気道を広げる装置で、軽症から中等症の方などに用いられます。作製は歯科で行うため、必要に応じて歯科をご紹介します。
- 手術:扁桃が大きいなど、のどや鼻に原因がある場合は、耳鼻咽喉科での治療を検討します。
CPAPを続けるためのコツ
- 最初は短い時間からでも大丈夫:慣れるまでは、寝始めの数時間だけでも毎晩使うことから始めましょう。
- マスクが合わないときは相談を:空気が漏れる、顔が痛いといった場合は、マスクの種類やサイズを変えることで改善することがあります。
- 鼻やのどの乾燥には加湿を:加湿器の併用や、鼻炎の治療で楽になることがあります。
- 旅行や出張にも持参を:機器は持ち運びできるため、外泊時も続けて使うことが大切です。
使いにくさを我慢してやめてしまうのではなく、困ったことがあれば受診時に遠慮なくお伝えください。
よくある質問
Q. 簡易検査の結果はどのくらいで分かりますか?
機器を返却いただいた後、データを解析して次回の受診時に結果をご説明します。解析にかかる日数は時期によって異なるため、検査時にご案内します。
Q. CPAPは一生続けなければいけませんか?
CPAPは使っている間の気道を保つ治療のため、原因が変わらなければ継続が必要です。ただし、減量などで無呼吸が改善した場合は、再検査の結果によって治療を見直すことがあります。
Q. CPAPの音や圧で眠れなくなりませんか?
最近の機器は動作音が静かで、寝つくまでは低い圧から始め、徐々に必要な圧まで上げる機能もあります。多くの方は数週間ほどで慣れていきます。
津市で睡眠時無呼吸の検査・CPAP治療をお考えの方へ
睡眠時無呼吸症候群は、ご自宅での簡易検査から始められ、CPAPなどの治療で症状の改善が期待できる病気です。2026年6月の基準見直しにより、これまで対象外だった方も保険でCPAP治療を受けられる可能性があります。
三重県津市の千里クリニックでは、ご自宅でできる簡易検査からCPAP治療、継続的な通院管理まで対応しています。高血圧や不整脈などの持病がある方は、普段の診療と合わせて睡眠の状態を確認することもできます。「いびきが気になる」「以前CPAPの対象外と言われた」という方は、診察時にお気軽にご相談ください。
参考:日本呼吸器学会「睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020」、日本循環器学会「2023年改訂版 循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン」、厚生労働省「令和8年度診療報酬改定」関連資料。本記事に記載した費用は一般的な目安であり、実際の窓口負担を保証するものではありません。

