津市で「血管年齢」のチェック(血管進展性検査:通称ABI検査)ができる診療所をお探しの方へ。健診で「血管年齢」という言葉を見て、実際の年齢との差が気になった方も多いのではないでしょうか。千里クリニックでは、血管伸展性検査とABI検査により、血管の硬さと足の血流を同時に調べ、その結果を次の一手につなげています。
「血管年齢」は、血管がどれくらい硬くなっているかを、同年代の目安と比べて分かりやすく言い換えた表現です。数字そのものに一喜一憂する必要はありません。ただ、動脈硬化は長い年月をかけて静かに進むため、早い段階で気づけることには大きな意味があります。この記事では、血管年齢で何が分かるのか、その結果からどのような検査や治療につながるのか、そして同時に測定されるABI検査との違いを、患者さんとご家族に向けて整理しました。
- 血管伸展性検査とは:「血管年齢」とABI検査
- 「血管年齢」が実際に測っているもの
- 血管年齢が高めに出たときに考えられること
- 結果を頸動脈などの精査につなげる流れ
- 足の動脈の異常と、心臓・脳の血管の関係(具体的な数値つき)
- 早期発見と予防のために、今日からできること
血管伸展性検査で分かること:「血管年齢」とABI検査の違い
「血管年齢」は血管の硬さ(baPWVなどの脈波伝播速度)を年齢別の目安と比べて表現したもので、ABIは主に足の動脈の狭窄・閉塞を調べる指標です。多くの場合は同じ機器で同時に測定されますが、見ているものは別です。
硬さを測っているのは脈波伝播速度(baPWV・CAVI)
心臓から送り出された脈の波は、血管を伝わって手足に届きます。血管が硬いほど、この脈の波は速く伝わります。この性質を利用して動脈の硬さを評価するのが、baPWV(上腕―足首間脈波伝播速度)やCAVI(心臓足首血管指数)といった指標です。腕と足首に血圧計のカフ(帯)を巻くだけで測定でき、採血も造影剤も使いません。
日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」では、baPWVの正常値は1,400cm/秒未満で、1,800cm/秒以上は異常値、CAVIは8.0未満が正常値で9.0以上が異常値と説明されています。健診結果などに書かれている「血管年齢」は、こうした測定値をもとにした目安の表現です。
数値は測定条件でも変わります
脈波の値は、そのときの血圧や測定時の緊張、室温などの影響を受けます。不整脈がある場合や、測定中に体が動いた場合には測り直すこともあります。一度の数値が以前と違っていても、すぐに状態が変わったとは限りません。医師は数値だけでなく、症状、既往歴、血液検査の結果などを合わせて判断します。
血管年齢が高めと言われたら、何を意味するのか
血管が硬くなっていく背景にあるのが動脈硬化です。血管の壁が厚く硬くなったり、コレステロールなどがたまって血液の通り道が狭くなったりすると、心臓、脳、腎臓、足など全身の臓器へ十分な血液が届きにくくなっていきます。
「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」では、baPWVに関連する因子として加齢、高血圧、糖尿病が挙げられ、心血管疾患のリスク評価指標であるフラミンガム・リスク・スコアと良好な相関を示すと記載されています。血管年齢が高めに出る方では、動脈硬化に関わる危険因子を併せ持っていることが少なくない、ということです。
特に、高血圧・脂質異常症(高脂血症)・糖尿病・喫煙は代表的な危険因子で、重なるほどリスクは高くなると考えられています。ただし「血管年齢が高い=すでに病気がある」ということではありません。数値をきっかけに、今ある危険因子を整理し、必要な検査と生活の見直しにつなげていくことが目的です。
血管年齢の結果を、次の検査につなげます
千里クリニックでは、血管年齢や脈波の結果を「測って終わり」にはしません。必要に応じて、ほかの血管の状態を確認する検査へつなげています。血管は全身でつながっているため、一か所で見つかった変化が、別の部位を見直すきっかけになるからです。
特に確認したいのが頸動脈です
頸動脈は首の左右を通り、脳へ血液を送る太い血管です。体の表面に近く超音波で観察しやすいため、動脈硬化の状態を実際に目で確かめやすい部位でもあります。日本動脈硬化学会のガイドラインでは、頸動脈超音波検査で血管壁の厚さ(IMT)やプラークの有無を評価し、プラークのない例ではIMT高値がプラーク出現の基礎病態になると説明されています。
血管年齢が高めで、高血圧や脂質異常症、糖尿病、喫煙といった危険因子をお持ちの方では、頸動脈エコーで実際の血管の壁やプラークを確かめることが、次の一歩として役立ちます。検査は痛みがなく、放射線も使いません。どなたに必要かは、症状や危険因子を踏まえて医師が判断します。
ガイドラインでも「ほかの血管の合併」が指摘されています
日本循環器学会/日本血管外科学会合同「2022年改訂版 末梢動脈疾患ガイドライン」には、足の動脈疾患では冠動脈疾患・脳血管疾患に加えて、頸動脈、腸管動脈、腎動脈それぞれの狭窄の合併頻度が高いと記載されています。動脈瘤の合併にも注意が必要とされます。足や血管の硬さの変化をきっかけに、全身の血管を見直す意義はここにあります。
ABI検査は「足の血流」を調べる、別の指標です
血管年齢と混同されやすいのがABIです。同じ機器で同時に測定されることが多いのですが、見ているものが違います。ここははっきり区別しておきたいところです。
ABIはAnkle Brachial Index(足関節上腕血圧比)の略です。仰向けに寝た状態で、左右の上腕と左右の足首、合わせて4か所の血圧をほぼ同時に測定し、左右それぞれについて次の比を計算します。
ABI = 足首の収縮期血圧 ÷ 上腕の収縮期血圧
健康な血管では、横になって測った足首の血圧は腕の血圧と同じくらいか、やや高くなるのが一般的です。足へ向かう動脈の途中が狭くなったり詰まったりしていると、その先にある足首の血圧が下がります。つまりABIが調べているのは、主に足の動脈の狭窄や閉塞です。ABIの数値だけで「血管年齢が何歳」と言うことはできませんし、全身の動脈硬化の程度を断定することもできません。血管の硬さや血管年齢の目安には、同時に測定されることのあるbaPWVなどの脈波伝播速度を用います。
ABIの一般的な参考範囲
ABIは左右の足ごとに判定します。一般的な参考範囲は次の通りですが、測定方法や使用する機器、患者さんの状態によって解釈は異なります。結果票の数字だけで自己判断せず、必ず医師の説明と合わせてご確認ください。
| ABIの値 | 一般的な受け止め方 |
|---|---|
| 1.00〜1.40程度 | 一般的な正常域とされる範囲です。ただし症状が強い場合などは、追加の評価を行うことがあります。 |
| 0.91〜0.99程度 | 境界域です。危険因子や症状を確認し、必要に応じて経過観察や追加検査を検討します。 |
| 0.90以下 | 足の動脈の狭窄・閉塞が疑われます。値が低いほど血流障害が強い可能性があります。 |
| 1.40以上 | 血管の石灰化などにより、カフで動脈を十分に圧迫できていない可能性があります。別の検査での評価が必要になることがあります。 |
※上記は、日本循環器学会/日本血管外科学会合同「2022年改訂版 末梢動脈疾患ガイドライン」などをもとにした一般向けの目安であり、個別の診断基準ではありません。
ABIが高めでも安心とは限りません
糖尿病や慢性腎臓病のある方、透析治療を受けている方、ご高齢の方などでは、動脈の壁に石灰化が起こり、カフで十分に圧迫しにくくなることがあります。このときABIが実際より高く出て、足の血流低下を正しく反映しない場合があります。症状や診察所見から血流障害が疑われるときは、足趾上腕血圧比(TBI)や血管超音波検査など、別の方法を組み合わせて評価します。
また同ガイドラインでは、オシロメトリック法で測定したABIが1.30以上の場合も脳心血管疾患発症のリスクとされています。値が高ければ良い、というものではない点にご注意ください。
足の動脈の異常は、心臓と脳のサインでもあります
動脈硬化などによって主に足の動脈が狭くなったり詰まったりし、血流が低下する病気を、末梢動脈疾患(PAD/下肢閉塞性動脈疾患・LEAD)と呼びます。この病気で特に大切なのは、足だけの問題として終わらないという点です。
「2022年改訂版 末梢動脈疾患ガイドライン」では、国際的な登録研究に日本から登録された下肢閉塞性動脈疾患627例のうち、30%が冠動脈疾患(虚血性心疾患)を、21%が脳血管疾患を合併し、7%は両方を有していたと報告されています。登録例全体(国際)では、50%以上が冠動脈疾患、25%が脳血管疾患、14%が両方を併発していました。
逆の方向でも同じことが言えます。同ガイドラインでは、冠動脈疾患のある患者さんの16%、脳血管疾患のある患者さんの19%に足の動脈疾患がみられると記載されています。足・心臓・脳の血管は別々の問題ではなく、一続きのものとして捉える必要がある、ということです。
※これらは医療機関を受診した患者さんの集団で得られた数値であり、そのまま個々の方に当てはまるものではありません。ご自身の状態は、症状・既往歴・ほかの検査結果と合わせて医師が判断します。
危険因子が重なるほど、頻度は高くなります
同ガイドラインでは、喫煙は足の動脈疾患の危険因子としてオッズ比3.8倍と報告されています。また、ABIが0.90未満となる頻度は、糖尿病のある方で7.0%、高血圧のある方で4.7%、透析を受けている方では10〜20%とされています。高血圧・脂質異常症・糖尿病・喫煙が重なる方ほど、早めに調べておく意味が大きくなります。
さらに、症状のない足の動脈疾患であっても、経過を追うと決して軽くはないことが示されています。だからこそ、症状がないうちに危険因子を確認し、必要な管理を続けていくことが大切です。
末梢動脈疾患のサインと、気づきにくいケース
代表的な症状は「間欠性跛行(かんけつせいはこう)」です。一定の距離を歩くとふくらはぎなどが痛んだり重くなったりし、少し休むとまた歩けるようになるのが特徴です。
- 左右の足の温度差、足先の冷えやしびれ
- 足の色が白っぽい、紫っぽいなど、いつもと違う変化
- 足の小さな傷がなかなか治らない
- 安静にしていても足が痛む
一方で、ふだんあまり歩かない方や、糖尿病で足の感覚が低下している方では、血流の低下があっても症状に気づきにくいことがあります。「症状がないから大丈夫」と決めつけず、危険因子がある場合は診察時に一度ご相談いただくと安心です。
なお、足が急に強く痛む、急に冷たくなる、色が急に変わる、動かしにくくなるといった変化は、早めの受診が望まれるサインです。記事を参考に様子を見すぎず、医療機関へご相談ください。
検査はどのように行うの?
血管年齢(脈波)とABIは、同じ機器で同時に測定できます。一般的には次のような流れで行います。施設や使用する機器によって、手順は多少異なります。

ABI検査では、仰向けになり両腕と両足首にカフを装着して測定します。
- 仰向けになり、しばらく安静にします。呼吸や血圧が落ち着いた状態で測定するためです。
- 両腕と両足首にカフを巻きます。機器によっては、心電図の電極や心音を拾うセンサーも取り付けます。
- 4か所の血圧と脈波を測定します。カフが順番に膨らむため一時的な締め付けを感じますが、通常は短時間です。
- 医師が結果を確認します。血管年齢(脈波)とABIの両方に加え、左右差や波形、症状、ほかの検査結果と合わせて判断します。

ABI検査結果票の一例。数値や波形を医師が総合的に確認します。
カフを巻いて測定する時間そのものは、5分程度とされています。実際の所要時間は、安静時間や着替え、診察などを含めると施設によって異なります。検査前の食事制限は通常ありませんが、直前の喫煙や激しい運動、カフェインの摂取は血圧や脈波に影響することがあります。施設から事前の案内がある場合は、その指示に従ってください。
また、腕や足に点滴、透析シャント、けが、強いむくみ、手術後の部位がある方、血栓症を指摘または疑われている方は、安全に検査を行うために、事前にスタッフへお知らせください。測定中は会話や体の動きを控え、力を抜いてお待ちいただくと、より安定した値が得られます。
早期に見つけて予防することが、健康寿命を守ります
動脈硬化は、長い年月をかけて静かに進みます。心筋梗塞や脳梗塞といった重い病気を起こしてから治療を始めるのではなく、その手前の段階で変化に気づき、危険因子を整えていくこと。これが、元気に過ごせる期間、いわゆる健康寿命を保つうえで大きな意味を持ちます。
血管年齢やABIは、その「気づき」のきっかけになる検査です。結果が良好であっても、血圧、血糖、LDLコレステロールなどに気になる点があれば、それぞれを適切に管理していくことが、将来の血管を守ることにつながります。
- たばこを吸っている方は禁煙を目指す
- 血圧・血糖・脂質の治療を自己判断で中断しない
- 野菜・魚・大豆製品を取り入れ、塩分やエネルギーの取りすぎを控える
- 体調に合った運動を、無理のない範囲で続ける
- 毎日足を観察し、傷・色・温度の変化に気づく
特に糖尿病のある方は、神経障害によって痛みや熱さを感じにくくなることがあり、小さな靴ずれややけどに気づきにくい場合があります。入浴時などに、足の甲・裏・かかと・指の間を毎日確認し、赤み、腫れ、水ぶくれ、皮膚のひび割れ、爪の周囲の傷などがないか見てみましょう。見えにくいところは鏡を使ったり、ご家族に確認してもらったりする方法もあります。
歩く運動は生活習慣病の予防に役立ち、末梢動脈疾患の治療として行われることもあります。ただし、安静にしていても足が痛む方、足に傷がある方、心臓の病気がある方などは、始める前に必ず医師へご相談ください。短期間で数値を「若返らせる」ことよりも、続けられる習慣を少しずつ積み重ねていくことが大切です。
このような方は検査をご相談ください
血管年齢やABIの検査は、すべての方が一律に受けるものではありません。次のような項目に当てはまる方は、日頃の診察時に医師へ相談してみてください。
- 健診などで「血管年齢が高め」と言われた
- 高血圧、脂質異常症(高脂血症)、糖尿病のいずれかがある
- 喫煙中、または長い喫煙歴がある
- 歩くと足が痛んだり重くなったりし、休むと軽くなる
- 足先の冷えやしびれ、左右差が気になる
- 足の傷が治りにくい
- 慢性腎臓病がある、または透析治療を受けている
- 心臓病や脳血管疾患の既往がある
- ご家族に心筋梗塞や脳梗塞の方がいる
- 年齢とともに血管の状態が気になっている
検査が適しているかどうかは、年齢だけでなく、症状や既往歴、現在の治療内容を含めて医師が判断します。気になる症状がある場合は、いつごろから、どのくらい歩くと出るのかもあわせてお伝えいただけると、診察の助けになります。
よくある質問
Q. 血管年齢が実年齢より高いと言われました。すぐ治療が必要ですか?
数値だけで治療の要否は決まりません。血圧、血糖、脂質などの危険因子や症状、ほかの検査結果と合わせて医師が判断します。まずは何が影響しているのかを一緒に整理していきましょう。
Q. 検査は痛いですか?
針を刺す検査ではありません。血圧測定と同じようにカフが膨らむため、腕や足首に一時的な締め付けを感じます。強い痛みがあるときは我慢せず、スタッフにお伝えください。
Q. どのような服装で受ければよいですか?
両腕と両足首にカフを巻ける服装が適しています。厚手の衣類や締め付けの強い靴下は、外していただく場合があります。
Q. 頸動脈エコーは必ず受けるのですか?
全員が受けるわけではありません。血管年齢や脈波の結果、危険因子、症状などを踏まえ、必要と判断された場合にご提案しています。痛みがなく放射線も使わない検査です。
Q. 結果が正常なら動脈硬化の心配はありませんか?
数値が正常域でも、心臓や脳など別の部位の動脈硬化を否定できるわけではありません。血管の石灰化などにより正しく評価しにくい場合もあります。危険因子の管理は引き続き大切です。
Q. どのくらいの間隔で受ければよいですか?
一律の間隔はありません。初回の結果、症状、持病、治療内容によって異なりますので、主治医の指示に従ってください。
津市でABI検査ができる診療所をお探しの方へ
三重県津市河芸町の千里クリニックでは、四肢血圧比/脈波伝播速度の測定に対応しています。津市でABI検査ができる診療所をお探しの方には、数値だけを見るのではなく、患者さんのお話や診察、血圧・血液検査の結果と合わせて、お一人おひとりに必要な予防と治療を一緒に考えていきます。必要に応じて、頸動脈の超音波検査など次の段階の検査もご案内します。
「健診で血管年齢が高いと言われたが、何をすればよいか分からない」「糖尿病や高血圧があり、動脈硬化が気になる」「年齢のせいだと思っていたけれど、歩くと足が重い」といった場合は、お気軽にご相談ください。検査の実施可否、ご予約、費用などについては、受診時またはお電話でご確認ください。
参考資料・医療上の免責事項
※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断や治療に代わるものではありません。記事中の数値は上記ガイドラインの記載に基づく一般的な情報であり、個々の患者さんの状態を示すものではありません。検査値の解釈や治療方針は、症状・既往歴・ほかの検査結果を含めて医師が判断します。気になる症状がある場合は、自己判断せず医療機関を受診してください。

